2012年4月4日水曜日

復興構想会議で梅原猛さんが訴えたこと(その1)


2011年4月、当時首相だった菅直人さんは、東日本大震災復興構想会議を設置し、特別顧問(名誉議長)として梅原猛さんを任命しました。その会議の中で梅原さんが発した言葉を紹介します。

第1回会議(2011年4月14日)
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/gijiroku/kousou01.pdf

【挨拶】

<前略>
私は、京都学派の一人として、京都人と思っている方も多いと思いますが、実は仙台市の生まれで、そして、魚民の血を引いております。今回の震災で特に漁民が大きな痛手を受けたことに、私は涙が出る思いでございます。そして、私はずっと哲学をしていますから、西洋の近代文明が行き詰っていて、そして、日本の思想の中に今後の人類の文明の原理になる思想があるのではないかということをずっと考え続けてきまして、大体その方向性が見えてきていたんです。それを数年かけて哲学にしようと思っていた矢先、今回の震災が起こりました。このような自然の怒りという問題が、私の哲学にはなかった。このような意味で二重にショックを受けました。日本を復興しなければならない。そして、それは単なる復興ではなくして、新しい日本の建設でなければならないと考え続けていたときに、総理から依頼を受け、即座にお引き受けした次第でございます。

<中略>
この災害は天災であります。同時に人災の面もあります。けれども、そればかりではなく、私は文明災の面もあると思います。文明が災害に遭った。原発を使って、人間の生活を豊かにし、便利にする。そういう文明がまさに災害に遭った。今、文明が裁かれていると思います。この文明の裁きに対してどういう答えを出すか。エネルギーの問題、恐らく太陽光や風力などのエネルギーの問題の開拓と同時に、人間の文明が変わらなければならない。本当に利他的な文明に変わらなくてはならない。聖徳太子の「和」の文明、利他の文明に変わらなければならない。今、被災者たちが本当に過酷な状況にありますが、多くの人が助け合っている。自分の命を犠牲にして、人を助けた人。私などには及びもつかない立派な人がたくさんおられる。そのような精神が、新しい文明の精神にならなければならないと思っているのです。

【会議での発言】

★今、佐藤知事がおっしゃった、原発がある社会なのか、脱原発の社会なのか。それを抜きにこの会議は成り立たない。私はやはりそれは直接ではなくても、やはり触れなくてはならないと思います。どうでしょうか。

★私は今回の特別顧問就任の依頼を引き受けたときには原発の問題を議論しないという話はまったくありませんでした。原発の問題を議論しないというのなら、この会議の意味はない。だから赤坂さん、内館さん、玄侑さんからの、原発の被害者を考えないような復興構想会議は意味がないのではないかというご意見には私も賛成です。この原発事故の被害はまだ広がるかもしれない。あるいは海の魚が食えなくなる。日本人が海の魚が食えなくなったら日本人はおしまいです。地震と津波の被害なら、容易ではないけれども、まだ復興はできるんです。つまり原発事故の被害が加わって復興は物すごく難しくなる。この原発の問題を抜きにしては、復興構想会議は成り立たないと思うんです。

★ここで議論するんです。そして両方議論して結論を出す。やはり原発の問題を議論しなかったら、この会議は意味ないと思っているんです。

★原発の被害のこともしっかり考えなければいけない。

★私は、デカルト以来の近代主義が問われているのではないかと考えています。今おっしゃったように、近代の哲学の原理、文明の原理というのは、人間に対立するものは自然であり、自然科学が発展して技術が進歩すれば、自然は奴隷のごとく利用できるという考え方なんです。この考え方そのものが今、問われているんです。そしてまた原発というのは反自然のものをつくり出し、それは安全ですというのが我々の神話だった。これまで私もそれを信じていたんですが、今回のことでそのような神話は信じられなくなった。原発は必要欠くべからざるかどうかという議論がなければ、この会議はむなしいものになるのではないかと思います。

2 件のコメント:

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  2. 梅原先生に会ってお話をしたいのですが、なかなかそれもかないません。ここに書いてある梅原先生の考え同感です、今日本はいや世界が変わらなければならない時なのです、この機会を逃してはならないと思います。先生には御迷惑でしょうが今の私の状況を理解出来る人はいないと思い、思い切って連絡しました。是非私達のブログを見てください、これは日本人に流れている神と繋がる精神性の復活にも関係が有り、また現代社会の問題点を指摘している人物が私の処にきて話して行く内容を綴ったものです。是非これを読んだ人どなたか梅原先生に連絡して頂けると嬉しいのですが。内容が内容だけに他の人には理解できないと思いますが。アメブロ「神様や霊達との交信の記録」

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